サステナブルWebデザインラボのご紹介

企業文化

先日から活動を開始した「サステナブルWebデザインラボ」の佐藤静、國村友貴子、山崎こころの3人に、「そもそもサステナブルWebデザインって何だろう?」という素朴な疑問から、ラボの活動を中心とした社内の取り組みについてインタビューしました!
(※社内報MEMBUZZ2021年9月号より。内容は取材当時のものです。)

「サステナブルWebデザイン」とは何か教えてください

國村:端的にいえばインターネットの利用や、Webのコンテンツを通じて生じてしまうCO2排出量を、可能な限り削減するためのデザインの手法です。

インターネットを通じてどれくらいのCO2が排出されているのかといったところは今まであまり注目されてきませんでしたが、世界全体でドイツ一国のCO2排出量に比類するくらいの量を、Web業界が排出してしまっているという現状が今注目され始めています。

他の業界と比較しても、CO2排出量を減らす努力を強く求められている航空業界と同じくらいの量をWeb業界が排出してしまっていることになります。

このような中で、CO2排出量をどうしたら減らしていけるのか、コンテンツを作る側が考えていく必要があるんじゃないかということが問われていて、実際にそれを達成するための手法が「サステナブルWebデザイン」だと考えています。

内容としてはそもそもの軽量化というところもあるんですが、具体的にコンテンツの中身や設計そのもの、デザインや実際にユーザーがどういう道筋でアクセスするのかなど、全体を見直すことでCO2排出量を減らしながら、ユーザーにとって心地よい、快適なサービスを提供するというのが、サステナブルWebデザインの目指すところかなと考えています。

デザイナーだけではなく、ディレクターやエンジニアも一緒に関わっていくものなんですね

佐藤:そうですね。今まで実施してきた軽量化やSEO対策のような方向にもなりがちなのですが、根本的にがらっとデザインを変えるとか、画像を全く使用しないとか、いかに見栄えと軽量化を両立させるかという、新しいデザインの考え方なのかなと思っています。

ラボではスタート時に、職種ごとに知りたいことを洗い出しましたが、見ている観点は職種ごとにそれぞれ違っていました。デザイナーだったらページ全体のデザインやページ設計、ディレクターはUX、例えばユーザーがWebページを遷移しないほうが通信量が減る、それをどうやって情報設計するか、などが必要になってきます。

エンジニアは、ページ内の動きは軽いほうがいいよねとか、できるだけレンダリングが少ないほうがいいのでは、動画はよくないんじゃないか、とかそういう実装面での軽量化や、通信量削減といった話もできます。

以前の活動で話題に挙がったのが「色」です。ダークモードと白だとどっちのほうが消費電力が少ないのか、通信量が少ないのか?という観点もありました。すべて繋がっていて、必要な観点であり、それぞれの職種・担当領域がサステナブルWebデザインに関係するのかなと思います。

ラボ設立のきっかけ、経緯について教えてください

佐藤: サステナブルWebデザインは、もともとエンゲージメント・ファースト(以下:EF)の中で研究をしていて、提案資料みたいなものも作ってくれていたんです。そんな中、私たちが所属するEMC推進室(以下:E推)でも「脱炭素DXって何だろう」というのを考えないといけなかったんです。

そこで改めてEFの皆さんから、サステナブルWebデザインについてのお話を聞き、たしかにこれはやったほうが良いのではないかとなりました。

ただ、本格的にやるとなったときに、E推の中にはデザイナーやエンジニアがいるわけではなく、また日本国内のサステナブルWebデザインへの知見というのもまだまだ足りない現状から、現場のクリエイターの方たちも巻き込んで一緒に研究していくことで、社内のナレッジにもなるし、メンバーズのサービスにも活かしていけるんじゃないかと思ったのがラボの設立に至った経緯です。

ラボから社内外へ向けて、今後具体的に目指しているものはありますか

國村: メンバーズ自身が「気候変動を止めよう」と掲げながらも、自分たちが作り出しているものが多くのCO2を排出しているという状態が継続しているのも矛盾があるかなと思うので、まずはラボを通じて、メンバーズの自社サイトをどうやったらCO2排出量が少ないものにできるのか、というところを研究していき、そこで培ったノウハウを次のステップとしてお客さまに提案できればと思っています。

特に最近徐々に増えている気候変動に対しての企業の宣言や取り組みを表明するページの場合、コンテンツ自体がCO2を排出しないものであるほうが、グリーンウォッシングの対象として見られないというメリットもあるので、そういった面を広く伝えていけたらと思いますし、ラボで培ったナレッジを通じて実現できるのかなと思っています。

佐藤: ラボの中でも「どうすれば簡単にサイト全体を軽量化できるか? 軽量化できれば運用の現場でも取り入れられると思う」と話していたエンジニアのメンバーもいました。そういった手法が見つけられると実際の運用にも導入できるのかなと思っていますし、将来的に、現在お取り引きさせていただいているお客さまにもご支援の一環として採用いただけたらベストですね。

お客さまへの年末挨拶にもサステナブルWebデザインを取り入れるそうですね

山崎: もともとはVISION2030でメンバーズが気候変動問題に取り組み始めたことをきっかけに、メンバーズ自身の活動もCO2削減に貢献していこうということで、昨年から紙の年賀状を廃止してデジタル年末挨拶に移行しました。

年末挨拶はラボとは別軸で進めているものですが、E推が主幹なので、EFからサステナブルWebデザインが波及してE推内でも認知が広まったことで、まさにデジタル年末挨拶でこそ取り入れるべきじゃないかと考え、今年はサステナブルWebデザインで制作していこうと計画を進めています。

年末挨拶は自社サイトを変えることと同じく、メンバーズのブランディングに大きくつながります。「脱炭素DX」を掲げるメンバーズだからこそ、そういった成果・事例をどんどん増やして自社の中からサステナブル化していこうという側面も大きいです。

サステナブルWebデザインについての手法はまだ社内でも確立されてはいませんが、社内外に対する大きなアウトプットとして、今後発信していければと考えています。

ラボの魅力と注目してほしいポイントを聞かせてください

佐藤: メンバーズの本業であるWeb制作の領域であり、ミッションにダイレクトに貢献できるアプローチなので、取り組む意義は非常にありますし、まだ脱炭素DXの案件事例がない中で脱炭素DXのブランディングを本気でおこなっていくにあたって、ラボでの具体的な手法の発見、普及への期待は大きいと思っています。

ラボの参加者としても、他のチームのクリエイターと議論ができる貴重な場が得られるのも、大きなメリットだと思います。

メンバーズサイトのコラムでも、ラボでわかったTipsなどを継続して発信していくので、ぜひ見て情報を取り入れ、活用してほしいです。

ラボで活用されている書籍はこちら
Tom Greenwood『SUSTAINABLE WEB DESIGN』