【面接官コラム 第2回】取締役 兼 専務執行役員 高野明彦~世界一幸せな国デンマークの働く人々~

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当連載企画「面接官コラム」では、実際に面接官を担当する社員が就職活動について語ります。今回は取締役 兼 専務執行役員 高野が、世界幸福度ランキング1位のデンマーク視察で得た幸せな働き方についてお話いたしますので就職活動における企業選びの参考に、ぜひご一読ください!

皆さん、こんにちは。経営企画担当役員の高野です。
メンバーズはデジタルクリエイターが日本で最も活躍し最も幸せに働く会社を目指しています。それを通じて、デジタルクリエイターの力で社会にイノベーションを起こし、心豊かな社会の創造に貢献します。
そこで、世界一幸せな国と言われるデンマークに今年の3月に私ともう1名の役員とで、世界一幸せな国の働き方について視察に行ってきました。皆さん、どうせ働くなら当然幸せに働きたいですよね。今回は皆さんの就職活動のヒントになりそうなポイントについて、視察レポートをします。

世界一幸せな国デンマークの働き方とは

視察レポートの前に一般的な現状理解です。デンマークは国連が発表する世界幸福度ランキングで2013年、2014年、2016年にNo.1に輝いています(実はデンマーク視察中にちょうど2017年のランキングの発表があり、そこではノルウェーに敗れて第2位になってしまいましたが、ここでは便宜上世界一とさせてください)。一方で日本はというと51位(155ヶ国中)。GDP世界3位の国としてはイマイチな感じがします。
デンマークというと皆さんどんなイメージでしょうか。北欧諸国は高福祉のイメージがあると思いますがデンマークはその代表格です。医療費は一生無料、年金も十分もらえて老後の心配は要りません。学費も無料で、国民は気の済むまで学びます。万が一失業してしまったときも収入のサポートおよび次の仕事が見つけられるように職業訓練や職探しが手厚くサポートされます。もちろんこれらの高福祉の裏には高負担があります。消費税25%を含めデンマークの国民負担率(租税負担率+社会保証負担率)は約70%で、こちらは世界2位です。一方の日本の国民負担率は約40%です。自分で自由に使えるお金は日本の方が大きくなっています。
その他のイメージでは、家具や食器などに代表される北欧デザインも思い浮かぶかもしれません。そして日本ではあまり知られていませんが、日本ではあれこれと問題になってなかなか進まないマイナンバーのような国民データベースが30年以上前から利用されており、現在では世界に先駆けて全国民の医療情報がビッグデータとして活用されているIT先進国です。また2050年に発電における化石燃料の使用ゼロを目指すクリーンエネルギーの先進国でもあります。
おおまかに要約するとクリエイティブに強く、先進的にITを活用しており、持続可能な社会の創造にも先進的にチャレンジしていて、そして国民は世界一幸せ。まさしくメンバーズがお手本とするのにぴったりの国です。ということで、たった1週間ではありますがその秘訣を探りに視察に行ってきました。訪問先は北欧No.1のブランドデザインエージェンシーであるkontrapunkt社、スワンチェア等で有名な歴史的名作を生み続ける家具ブランドFriz Hansen社、気鋭のクリエイティブ・コンサルティング・ベンチャーのBespoke社の企業3社。それからデザインカレッジの学生、理工系高校の学生、先生、校長先生、小中学校の先生、そしてIT系大学の教授と、幅広く多くの人々にお会いして、「幸せに働く」ということについて話を伺ってきました。前置きが長くなりましたが、ここからこの視察で得られた幸せな働き方のポイントをお伝えしたいと思います。

ワークライフバランス:家族と過ごす時間の重要性

デンマークの会社では一般的に8時半から働き4時に帰ります。昼食はオフィス内で30分だけ。早く来て、集中して働いて、早く帰ります。とはいえ、もちろんプロジェクトの納期前には残業もあるし、必要であれば家族での夕食の後に在宅で仕事をします。基本的に働き方は個人の裁量に任されていて、結果責任、成果主義の考え方が定着しています。日本の裁量労働制と近いと思いますが、日本では勤労が美徳であり、組織への同調圧力が強く、更に人手不足だったりすると、どうしても裁量労働制と成果主義の組み合わせは過重労働につながりやすくなります。多くの人が家族と過ごす時間が大切だと考え、そのためにワークライフバランスが大事であるという、国民的な価値観というかコンセンサスがあります。就活生にとっては家族との時間が大事、と言ってもまだピンと来ない人も多いかもしれませんが、いずれにせよ日本も共働きや介護が当たり前になる中で、働き方の多様性を担保できる環境は欠かせないと思います。

民主主義、自己効力感:自分の人生を自分で決める感覚

またデンマークの人々に幸せの秘訣を伺うと、多くの方がデンマークの組織文化は民主主義的だと言います。民主主義的といわれると、最近ではポピュリズム的な多数決で組織の意思決定が行われるものとイメージしてしまうのですが、デンマーク人の言う民主主義はほぼ別物でした。まずベースとなるのは個々人の意見・意思が非常に尊重されるということ。そしてそれを表すように組織文化はオープンでヒエラルキーがなくフラット、そして皆とてもフレンドリーです。
【Friz Hansen社の非常にオープンなCEOオフィス】

大事なのは個人の意見・意思が尊重されるということが、自分自身のことについての自己決定権があるということに加えて、組織運営においても個々人の意見が尊重され、組織運営への参加感や、更には自己効力感があるということだと思います。
ちなみに私が以前の銀行からメンバーズに転職してきて最も大きな違いと感じたのがまさしくこの点です。銀行にいたころは自分が頑張ろうがサボろうが会社には何の影響もない、自分が何を言おうが会社が変わるわけはない、自分がやることは会社が決める、自分は会社に従属的な存在であり自分の処遇・キャリアは会社が決めるものと考えていました。極端に言えば流行ったドラマ『半沢直樹』に出てくる、子会社への出向を恐れている社員のようなものです。逆にメンバーズに来てからは、自分の成果と会社の成果が直結していて、自分がサボれば会社のスピードが遅くなり、自分の成長と会社の成長を同時に感じられ、自分がやりたいと思うこと/やるべきと思うことを主体的に発言・提案することが尊重されます。メンバーズは全員参加型経営がそもそも社名の由来でもあります。少し大げさに言えば周りの環境も含めて「自分の人生を自分で決めている感」です。日本人にはとても不足している感覚ではないでしょうか。

目的と価値:仕事を通して何のためにどんな価値を提供しているのか

最後にもう1点、デンマークの方と話をしていてよく出てくる言葉がPurpose of Life(人生の目的)やSocial Value(社会的な価値)という言葉です。自分・自社の仕事が誰のため、何のためにどんな価値を提供しているのか、ということを多くの方が自然に語ります。そしてそれが仕事における自分たちの幸福感につながっていると話を伺いました。
先日Facebookのザッカーバーグがハーバード大学の卒業式のスピーチでも「目的」について話をしていましたね。これも日本の職場では薄い感覚ではないでしょうか。日本ではビジネスは稼ぐためのものだとか、仕事だから仕方ない、青臭い、そんな綺麗ごとは叶わないといったような話を聞きます。この傾向があるのは日本人が懐疑的、悲観的なのか、はたまた諦めなのか分かりませんが、組織が大きくなればなるほどその企業本来の事業の「目的」や「価値」というものが軽視されて、組織の維持または利益の拡大のみに関心が寄っているように感じます。しかし今の若い世代は非常に社会貢献志向が強く、自分が稼ぐことよりも仕事の「目的」が大切だと考えている人は非常に多いと感じています。自分が共感できる「目的」のために仕事をできたほうが幸せなのは綺麗ごとではなく当たり前のことだと思います。デンマーク企業の人々にとってはそれがごく自然であり、自覚しているということが驚きでした。

さいごに

メンバーズの社員に日本で最も幸せに働いてもらいたいと思い、デンマークの働き方について視察に行ってきましたが、そのまま就活における企業選びにも使えそうだと思い今回紹介しました。メンバーズでもすべてを完璧にできているわけではありませんが、上記の3つの観点はとても重視していて取り組みをしており、今後更に注力していきたいと考えています。現代の就活においては1つ目の「ワークライフバランス」と3つ目の仕事の「目的」については比較的意識されているトレンドだと思いますが、2つ目の「民主主義・自己効力感」についてはあまり意識されていないように思います。すべてが完璧な会社ばかりではないと思います。また就活ですべてが分かるわけでもないかもしれませんが、皆さんのキャリアが幸せなものとなるように参考にして就活に取り組んでいただければ幸いです。