20210427

AIによるマーケティングとは?

AIによるマーケティングとは、人工知能技術を用いて、データ収集、データ分析、顧客や経済動向の予測などのマーケティング活動をおこなうことを指します。従来は人間がおこなってきた作業を人工知能に置き換えることで、業務の効率化、精度の向上を実現することができるため、この取り組みはビジネスの現場においても盛んにされ始めています。

AIによるマーケティングのユースケースには以下のようなものがあります。

・データ分析
・自然言語処理
・メディアバイイング
・コンテンツ生成
・リアルタイムパーソナライゼーション

AIによるマーケティングを実現する仕組み

AIによるマーケティングが実現できるようになった技術的背景としては、人工知能分野における研究開発の進展が挙げられます。特に、以下の技術は大きな貢献を果たしています。

機械学習

機械学習とは、大量のデータの中から一定のパターンを見出して、分類や予測などのタスクを遂行するアルゴリズムを自動的に構築・改善する技術です。機械学習を活用したアルゴリズムやモデルは、過去のデータに基づいて新しい情報を分析し、効果的な意思決定をおこなうことができます。

AIによるマーケティングでは、統計情報やユーザーの行動履歴が学習元のデータとして利用されます。

ビッグデータ・アナリティクス

機械学習の対象となる膨大な量のデータは、社会のデジタル化によってもたらされることとなりました。

自社のビジネスに流れ込むデータをデジタル化して収集・蓄積・分析できるようになったことで、マーケターはチャネルの価値や施策の効果を数値化し、価値判断や意思決定ができるようになっています。

AIプラットフォームの登場

AIプラットフォームの仕組みを理解し、活用することもマーケターの重要な仕事です。
Facebook広告がプロフィールや行動履歴から判断してもっとも適切なユーザーへ自動的に広告を配信してくれるように、効果的なAIが搭載されたプラットフォームを活用すると、データに基づいて最適な方法でターゲットオーディエンスにリーチすることができます。

このようなプラットフォームの利用が簡易になったことで、AIによるマーケティングの裾野は広がっています。

AIをマーケティングに活用するメリット

AIは業務の効率化、精度の向上に役立ちます。マーケティング活動においては、具体的にどのようなメリットが得られるのかを、以下で確認していきましょう。

各種業務の自動化

マーケティングにおけるAIの重要なユースケースのひとつは、さまざまなプロセスの自動化です。広告枠の売買、顧客からのよくある質問への回答、パーソナライズされたコンテンツの推薦など、人間がおこなうと膨大な時間がかかる作業も、AIなら一瞬で実現することができます。

マーケティングROIの改善

AIを活用することは、マーケティングにおける投資効率を高めることにも繋がります。

AIはデータセットから価値のあるインサイトを導き出し、各メディアチャネルへの最適なリソース配分を決定したり、もっとも効果的な方法で広告配信をおこなってくれるでしょう。また、Facebook広告がわずかな設定で自動的に広告配信を開始してくれるように、人的リソースも抑えられるので、施策における投資額も比較的少なくて済みます。

効果測定の効率化・精緻化

マーケティング施策を実施すると効果測定が必要になりますが、この面でもAIを利用することによるメリットが得られます。

例えば、Googleアナリティクスのアシスタント機能は、収集したトラフィックデータをAIで分析して、重要な知見を先回りして抽出してくれます。データの集計のみならず、分析までもがAIによっておこなわれるので、効果測定の効率化が進むでしょう。

また、測定の精緻化という面では、効果測定が難しいと言われていたOOH広告(屋外広告)にセンサーを取り付けて、広告を見た人の人数、性別などをAIによって計測する取り組みが実現しています。

顧客との関係構築

AIは、過去のデータから顧客の行動を予測することができます。そのため、消費者のライフサイクルの適切な時点で、顧客にパーソナライズされたメッセージを届けることでエンゲージメントを高めることに役立ちます。

具体的には、サイトからの離脱が起こる前に別ページの閲覧を提案したり、カゴ落ちしたユーザーへのリマインドをもっとも効果的なタイミングで配信したりするなど、それぞれのユーザーに対して効果的な動線を自動かつ個別に構築することができます。

AIによるマーケティングの具体例

AIによるマーケティングの活用例として、具体的にはどのようなものが挙げられるのでしょうか?AIでデジタルマーケティングがどのように変化してきたのかを、以下で見ていきましょう。

パーソナライゼーション

現代の消費者は大量の情報にさらされています。そのため、ユーザーの関心を得るには、パーソナライゼーションの精度が重要になります。そして、ユーザーへのアプローチには、ユーザーの興味、購入履歴、場所、エンゲージメントなど、過去の接点から得た情報が多く反映されていなければなりません。

そのような状況において、AIはいわゆる人口統計的なデータだけでなく、さらにきめ細かい個人レベルで消費者の嗜好を把握するのに役立ちます。これにより、企業は顧客の興味関心に基づいたアプローチを作り出すことができるでしょう。

例えば、SpotifyはAIを使用して、プレイリストを特定のテーマに基づいて更新したり、ユーザーが過去に聴いた曲やサービス上でのユーザー行動などからそのユーザー専用のプレイリストを作成したりしています。特に「Discover Weekly」というプレイリストは人気で、Spotifyでもっとも成功した施策のひとつとされています。(※1)

このプレイリストは、「無名もしくは今までに聴かれたことはないが、そのユーザーが気にいるであろうアーティストの楽曲」を集めたもので、新たに好みのアーティストを発見したいユーザー向けの機能ですが、曲を収集してくるAIの精度の高さから大きな評判を呼びました。

また、Netflixも機械学習を利用してユーザーの視聴履歴や行動履歴から特定のユーザーが興味を持っているジャンルを把握しており、それに基づいておすすめコンテンツが高い精度で推薦されています。さらに、Netflix Tech Blogで以下のように説明される通り、Netflixでは視聴者を惹きつけるために作品のアートワークすらもアルゴリズムによって個人に最適化されていることが知られています。

映画『グッド・ウィル・ハンティング』の描写に使用した画像をパーソナライズすることを考えてみましょう。ここでは、メンバーがどの程度異なるジャンルやテーマを好むかに基づいて、この判断をパーソナライズすることができます。恋愛映画をたくさん見てきた人は、マット・デイモンとミニー・ドライバーが描かれたアートワークを使えば『グッド・ウィル・ハンティング』に興味を持つかもしれませんし、コメディをたくさん見てきた人は、有名なコメディアンのロビン・ウィリアムズが描かれたアートワークを使えば『グッド・ウィル・ハンティング』に惹かれるかもしれません。”(※2)

※1:What made Discover Weekly one of our most successful feature launches to date?

※2:Artwork Personalization at Netflix

コンテンツ生成

AIによるコンテンツの生成も実用化が進んでいます。特にストレートニュースや決算情報、スポーツニュースなどは形式が決まっているため、機械学習との相性がよく、それぞれ元となる事件の概要や財務報告書、スポーツの試合経過を入力することで、アルゴリズムが記事を作成できるようになっています。

また、すでに作成されたコンテンツに対して、過去のデータを分析した上で、より読まれやすくするための改善案を提案したり、文法やスペルのミスを指摘したりしてくれるようなサービスも存在します。

チャットボットによる顧客対応

顧客対応の場面でもすでにAIとしてのチャットボットが活躍しています。自然言語処理と機械学習の組み合わせにより、AIは自然言語でユーザーとの会話をシミュレートできるようになっており、メッセージングアプリなどを通じて実際に顧客からの質問への回答が可能です。

これにより、基本的な質問はチャットボットが回答できるため、カスタマーサービス担当者はより複雑な要求への回答に取り組めるようになるでしょう。また、常に多くの人に対して即時の回答を提供できるようになる点も大きな特徴です。

音声認識

音声認識機能を持つAIとしては、Siri、Googleアシスタント、Alexaなどが知られています。音声認識をマーケティングに利用する例はイメージされにくいかもしれません。

しかし、米決済ネットワーク大手のVISAの調査によると、米国では2020年に2,300万人の消費者が音声アシスタントを使って買い物をしており、2018年比で42%増、2019年比で10%増を記録するなど、ひとつのトレンドとして若年層を中心に消費者に受け入れられています。(※)

※:HOME AS THE CONSUMER’S COMMERCE COMMAND CENTER

国によって音声検索の普及率は異なるので、日本では米国のように拡大が進まない可能性もありますが、注目しておくべき潮流であることは間違いないでしょう。

AIとマーケティングのこれから

AIはマーケティングの世界ではまだまだ新しい存在ですが、その人気はますます高まることが予想されています。

マーケターの仕事のうち、ここまで述べてきたような仕事はAIに取って代わられる可能性が高いです。それと同時に、AIは業務の効率化や精緻化をもたらし、生産性の向上やよりよい顧客経験の提供を実現してくれる有用なツールでもあります。

そのため、将来的に活躍を目指すマーケターにとって、AIを活用する能力は必須と言えるでしょう。

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