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IoT、シェアリングエコノミー、個人間決済など、デジタルテクノロジーの著しい進歩により、あらゆるビジネスのデジタル化が急速に進展しています。

一方で日本では深刻な人口減少や少子高齢化が進んでおり、経済産業省は、IT人材の不足が2030年には最大で約79万人に達すると予測。(※1)特に、「AI等を使いこなして第4次産業革命に対応した新しいビジネスの担い手となる高度IT人材の育成が急務」と述べています。(※2)

そんななかで注目されるのが、AIを活用して新しいビジネスを創造する「AI人材」です。本稿では、AI人材とは何か、なぜAI人材は注目されているのか、どのようなスキルが求められるのかについて解説します。

※1:IT人材需給に関する調査(概要)
※2:AI人材育成の取組

AI人材とは

AI人材とは、AI(機械学習、画像処理、音声処理、自然言語処理および最適化などの技術を用いて学習・認識・推論などの人間の知的能力を人工的に実現したソフトウェアやシステム)に携わる人材のことを指します。(※)

詳細は後述しますが、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)はAI人材を「AI研究者」、「AI開発者」、「AI事業企画」の3タイプに分類しており、AIのアルゴリズムの研究や開発のみならず、AIを活用した製品・サービスを企画・販売する人も含めた、広い範囲の人を指す言葉であると言えるでしょう。

※:「IT人材白書2019」概要

なぜAI人材が必要とされるのか

少子高齢化による人口減少が見込まれる日本において、ITの活用はさまざまな産業の生産性向上や社会課題の解決の鍵を握っています。特に、企業におけるIT活用の高度化や、官民双方でのデジタルトランスフォーメーションを実現するにあたって、AIの有効活用は必要不可欠です。そのため、AI人材の獲得・育成は日本の産業強化の要と目されています。ボストンコンサルティング・グループの調査によると、日本は、中国、アメリカ、フランス、ドイツなどの国と比べて「AI導入競争で大きく遅れをとっている」(※1)と評価されていますが、その要因としてAI人材の不足が挙げられていることも示唆的でしょう。

実際にAI人材の需要は世界的に高く、経済産業省はAI人材の不足が2030年には最大で約12.4万人まで上る試算を出しています。(※2)

世界中のあらゆる業界・企業が、AIを活用して競争上の優位性を獲得しようとしており、世界的にもAI人材の争奪戦が起きています。日本政府も2019年に「AI戦略 2019」(※3)を発表し、AI人材の育成に力を入れていく方向性を示しているなかで、そのニーズはさらなる拡大が見込まれます。

※1:Mind the (AI) Gap

※2:IT人材需給に関する調査(概要)

※3:AI戦略 2019(概要)

AI人材の種類

注目を集めるAI人材ですが、先述したようにその仕事内容は多様です。具体的にはどのような役割を担い、何をすることが求められるのでしょうか?
IPAによる定義(※)を参照しながら、その分類を見ていきましょう。

※:「IT人材白書2019」概要

AI研究者

AI研究者とは、「AIを実現する数理モデルについての研究をおこなう人材」を指します。想定されるのは、大学や研究施設、企業のR&Dの部署などで、AIに関連する学術分野の調査・開発に取り組み、学術論文を発表するなど、学術的な素養を備えた上で研究に従事するような人材です。

人工知能に関する研究領域には、機械学習やディープラーニングのような基礎分野から、画像認識や音声認識、自然言語処理などといった応用分野まで、さまざまなフィールドがあります。それぞれのフィールドにおいて、確率や統計の理論に基づいて汎用的な手法を構築する、精緻化した推論のルールをモデル化するなど、最先端の分野でAIを進歩させるための研究に取り組むことが求められる仕事です。

AI開発者

AI開発者とは、AI機能を搭載したソフトウェアやシステムを開発できる人材のことを指します。AI開発者はさらにエキスパートレベルとミドルレベルに分けられており、前者は「AIモデルやその背景となる技術的な概念を理解した上で、そのモデルをソフトウェアやシステムとして構築できる人材」、後者は「既存のAIライブラリ等を活用して、AI機能を搭載したソフトウェアやシステムを開発できる人材」と定義されています。

主に企業でAIエンジニアやデータ・サイエンティストとして従事するような人物が想定されるでしょう。

AI事業企画

AI事業企画とは、AIをビジネスに活用する人材を指します。AI事業企画もエキスパートレベルとミドルレベルに分けられており、エキスパートレベルでは「AIモデルや背景となる技術的な概念を理解した上で、AIを活用した製品・サービスを企画し、市場に売り出すことができる人材」、ミドルレベルでは、「AIの特徴や課題などを理解した上で、AIを活用した製品・サービスを企画し、市場に売り出すことができる人材」が想定されています。

具体的には、プランナーやコンサルタントのような存在を指し、AIを現場で導入するための企画から、プロジェクトマネジメント、導入後の利用・管理までを担当する人材です。

AI人材に求められるスキル

AI人材の分類と果たす役割を概観してきましたが、このようなAI人材を目指すにあたり、具体的にはどのようなスキルが求められるのでしょうか。

ITリテラシー

どのタイプのAI人材を目指すにしても、必須となるのがITリテラシーです。ITリテラシーとは、データべース、ネットワーク、セキュリティ、システムの操作など、ITに関連する要素についての理解力を指します。

AIはIT技術の蓄積の上に成り立っており、実際にIT関連の商品やサービスに組み込まれて利活用されることが多い技術なので、ITについての基本的な知識・技能が必要となります。

AIに関連する学術分野の専門知識

AI研究者を目指す場合、AIに関連する学術分野の専門知識が必要です。先述したように、人工知能に関する研究領域は幅広く、その研究手法もさまざまなので、一概に語ることはできません。いずれにしてもこのレベルで必要とされる知識を得るためには、自身が関わる研究領域の学術論文に目を通すことを習慣化するなどの努力が求められます。

また、AI開発者やAI事業企画を目指す場合にも、エキスパートレベルでは「AIモデルや背景となる技術的な概念を理解」することが求められているため、これは重要なスキルです。少なくとも、数学や統計学、確率などについては、多くの人工知能研究関連分野で必要となる知識なので、学んでおいて損はありません。

プログラミングスキル

AI開発者を目指す場合、プログラミングスキルは間違いなく必須のスキルです。AIの開発はシステム開発の一分野なので、基礎としてプログラミングやデータ処理の知識と技術があることは前提となっています。

また、AI事業企画にとってもプログラミングは役に立つスキルです。システム開発の知識や経験があると、開発しようとするシステムのデータ処理の方法や流れのイメージがつきやすく、理解が深まるので、企画やマネジメントの質が上がります。

応用力

特にAI事業開発に求められるスキルがAIの応用力です。
ビジネス上の課題を解決する上で、AIが活用できる場面は多くあります。AI事業開発には、このような課題を発見し、どのAI技術を使えば解決できるかを考える力が求められます。また、AIを利用して特定の課題を解決する際にも、新たにAIを自作するべきか、既存のAIプラットフォームを利用するべきかなど、判断すべきことは多いです。

円滑に課題を解決できるように、適切なAIの使い方を考えるという応用力が、AI事業開発に必要なスキルとなります。

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