20210413

AIとは

Googleは、AIについて以下のように説明しています。(※)

AIの本質とは、学習し適応するコンピュータプログラムです。AI はすべての問題を解決することはできませんが、一方で、私たちの生活を向上させる計り知れない可能性を持っています。

「学習し適応する」と述べられているように、単純な計算ではなく、コンピュータ自身が学習をしながら、あたかも人間のように問題を処理していくことがAIの特徴です。とはいえ、「人間のように処理」することの定義は曖昧です。人工知能は、たしかに人間の知能の一部を真似ることで創造的なアウトプットを目指していますが、そもそも人間がどのように物事を考え、学び、そして行動しているかはわかっていないことが多いです。

つまり、人工知能とはコンピュータが人間と全く同じように考えて、アウトプットするものでは(少なくとも現時点では)なく、その一部を模したものであると言えるでしょう。松尾豊氏は、著書『人工知能は人間を超えるか』で以下のように説明しています。

人工知能は「人工的につくられた人間のような知能」であり、人間のように知的であるとは「気づくことのできる」コンピュータ、つまり、データのなかから特徴量を生成し現象をモデル化することのできるコンピュータ

Google と AI : 私たちの基本理念

なぜAIに注目が集まっているのか

定義は曖昧ながら、AIにこれほど爆発的な注目が集まったのは機械学習や深層学習という技術的進展があったことが大きく影響しています。これらの技術については後述しますが、その結果としてAIに大きな発展が期待され、産業界などから大きく注目を集めました。

もともとAIには、1950年代から1960年代までの第一次ブームと1980年代から1990年代までの第二次ブームがありました。今回のブームは3度目となり、過去2回よりもコンピュータの精度や容量も高まっていることから、期待が集まっています。

また2011年にIBMのワトソンと呼ばれるシステムが紹介されたほか、2016年から2017年にかけて、Google DeepMindによって開発されたコンピュータ囲碁プログラムAlphaGoが相次いで人間のトップ棋士に勝利したことで注目を集めるなど、象徴的な出来事が続きました。同時に、レイ・カーツワイル氏が提唱する「シンギュラリティ(技術的特異点)」といった言葉が話題となり、人工知能が人間を凌駕するかもしれないという恐怖感なども高まり、人々の間でも関心が飛躍的に増加した背景もあります。

こうした社会的な関心に合わせて、企業がAIと銘打った製品を次々と打ち出してきたことで、AIというワードは一気に人口に膾炙しました。たとえば最近でも、AIを使って新型コロナウイルスの感染者数を予測するGoogleのサービスが登場したり(※1)、Facebook上のヘイトスピーチをAIが検出する(※2)など、AIはますます私達の社会に浸透してきています。

※1 COVID-19 感染予測 (日本版)

※2 AI advances to better detect hate speech

機械学習(マシンラーニング)と深層学習(ディープラーニング)とは

現在のAIについて理解するためには、機械学習(マシンラーニング)と深層学習(ディープラーニング)について知る必要があります。

機械学習(マシンラーニング)

機械学習とは、コンピュータが過去のデータなどをもとに学習を続けて、答えを出していく仕組みです。たとえば、猫の画像を大量に収集して、そのデータをもとに、ある画像が猫か犬かを判定していくようなプログラムがあります。このときに、あらかじめ猫という情報と正しい猫の画像が紐付いた大量のデータを用意することで、コンピュータに猫を認識させやすくする必要があります。

しかし、機械学習では猫の特徴を表す情報を定量的に入力する必要があります。これを特徴量と言いますが、この特徴量を考えて設計するのは人間の作業となります。人間は直感的に(というより過去の経験から)、ある動物が猫か犬か、あるいは虎かを見分けることができますが、コンピュータが分類するためには、特徴量を適切に入力することが大事です。

深層学習(ディープラーニング)

そして、その特徴量を人間ではなく、コンピュータ自身がつくり出すのが深層学習(ディープラーニング)です。猫の画像とその概念について、人間がコンピュータに教えるのではなく、大量のデータを読み込み、コンピュータが自ら概念を獲得することで、猫の画像を判断できるようになりました。

2012年におこなわれたGoogleの研究では、YouTubeの動画などから収集した大量の画像を1週間に渡って読み込ませ、コンピュータが「人間の顔」や「猫の顔」などに反応するようになり、猫の画像を抽出することに成功しました。

従来、人間の手によって特徴量を入力することで可能になっていた機械学習ですが、データにもとづいて「何を特徴量とするか」の判断をコンピュータが担える可能性が出てきたことで、人工知能の研究に大きなブレイクスルーが生まれたと言われます。

AIでどんなことができる?

では、このように人工知能に大きな進展が生じたことで、具体的にどのようなことが可能になるのでしょうか。

まず前述したように機械学習や深層学習で画像認識が大きな進展を果たしたことで、マーケティングやセキュリティ領域で変化が生じています。たとえば無人店舗においてカメラを活用して、消費者が購入した商品を把握したり、分析することが可能となり始めています。また店舗の防犯や監視に、こうしたカメラのデータを活用することも可能となっています。

カメラのデータについて、より高い精度で画像認識することで、自動運転や物流にも変化が生じる可能性があります。たとえば、現在世界で研究開発が続けられている自動運転については、車体の周囲にある物(障害物)や人(歩行者)について、コンピュータが適切に認識・処理できることが重要となります。

また工場や建物においても、画像認識や予測分析をおこなうことで設備の保守・運用などに活用することができます。老朽化やアクシデントがどのような時期・状況において起こりやすいかを予測して、あらかじめ対応をおこなうなどのユースケースが考えられます。

予測については、人工知能が得意とする領域でもあります。そのため、店舗やECでの需要予測や販売予測などでも可能性があり、地震や洪水などの自然災害などでも被害を予測するこために人工知能が活用され始めています。

最後に、文章や音声などのデータについても、人工知能を活用することでさまざまな利用シーンが想定されています。たとえばスマートスピーカーがユーザーからの会話をもとに返答をしたり、過去のデータをもとに文章を生成したり改善することなどができます。

AIによって私たちの生活はどう変化する?

このように人工知能によってさまざまな変化が予想されています。前述したように、脅威論や人工知能によって雇用が奪われるなど、さまざまな懸念が飛び交った時期がありますが、すでに機械学習をはじめとした技術は、わたしたちの社会に活用され始めています。

そのためAIによってわたしたちの生活が、根底から覆ったり大きな問題が起こるというよりは、徐々にさまざまな仕事が置き換えられ、必要とされるスキルも変化していくことでしょう。今後の社会の変化を見据えて、正しくAIについて理解し、それらの根底にある技術についても学んでいくことが、人工知能が実装された社会を生きていく上で、重要なポイントとなっていくはずです。

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