20201203

SDGsとは、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」を指し、貧困や飢餓、エネルギー、気候変動、平和的社会などに関する国際的な目標のことを言います。2015年の国連総会で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中核的な行動指針で、具体的には以下の17の目標が掲げられています。

目標1:あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
目標2:飢餓をゼロに
目標3:あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
目標4:すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
目標5:ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る
目標6:すべての人々に水と衛生へのアクセスを確保する
目標7:手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する
目標8:すべての人々のための包摂的かつ持続可能な経済成長、雇用およびディーセント・ワークを推進する
目標9:レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る
目標10:国内および国家間の不平等を是正する
目標11:都市を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする
目標12:持続可能な消費と生産のパターンを確保する
目標13:気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る
目標14:海洋と海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
目標15:森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る
目標16:公正、平和かつ包摂的な社会を推進する
目標17:持続可能な開発に向けてグローバル・パートナーシップを活性化する

これは、2000年に採択されたミレニアム開発目標(MDGs)を継承する目標と見なされており、ミレニアル開発目標が途上国の開発に焦点を当てた目標であったことに対して、SDGsでは先進国も含めた各国が、ともに共通の目標を追うことに主眼が置かれています。

なぜSDGsに企業が取り組むのか

では、国際的な目標であるSDGsになぜ企業が取り組む必要があるのでしょうか。最も重要なポイントは、SDGsが政府や国際機関のための目標ではなく、「誰一人取り残さない、経済・社会・環境」を生み出すための、個人や企業といった全てのセクターにとっての目標だという点です。

内閣府は、SDGsを実現していくためには「公的セクターのみならず、民間セクターが公的課題の解決に貢献することが決定的に重要であり、民間企業(個人事業者も含む)が有する資金や技術を社会課題の解決に効果的に役立てていくことはSDGsの達成に向けた鍵でもある」と述べています。(※1)

SDGsそのものが、企業の参加を前提としていることは、国連も明言しています。それによれば、「企業はまず責任を持って自らのビジネスを行い、その上でビジネスにおけるイノベーションととコラボレーションを通じて、社会的課題を解決する機会を追求すること」が重要だとされています。(※2)

その上で、国連は「気候変動や水、食糧危機、貧困、紛争、不平等に至る世界的な課題は、民間セクター(企業)が提供できる解決策を必要としており、ビジネスのイノベーションにとっても、大きな成長市場となる」と述べています。すなわち、SDGsが対象とする社会課題は、企業の事業にとっても大きな機会をもたらすということです。

SDGsと企業の関係は、しばしば「企業にもメリットになる」という主張や「社会的評価が高まる」といった捉えられ方をしますが、国連などの指摘を見る限り、それは適切な捉え方とは言えないでしょう。そもそもSDGsが、すべての組織・市民にとっての目標であるからこそ、そこに企業も含まれており、未解決の社会課題が新たな事業機会になることは、あくまで結果的に付随するものと位置づけられるべきです。

(※1)https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sdgs/dai2/siryou1.pdf
(※2)https://www.unglobalcompact.org/sdgs/about

SDGsとCSVの関係

こうした企業とSDGsの関係を見てみると、SDGsとCSVの関係についても明らかになっていきます。

前述の内閣府による資料では、「一部の民間企業がSDGsに社会貢献活動の一環として取り組むのみならず、SDGsを自らの本業に取り込み、ビジネスを通じて社会的課題の解決に貢献することに取り組んでおり、政府としてこうした動きを歓迎する」と記されています。

この考え方は、まさに「本業を通じて、社会課題の解決を実現」していくCSVそのものだと言えます。すなわち、企業がSDGsの達成を目指していくためには、CSVについての理解が不可欠になると言えます。企業活動で生まれた利益を社会貢献のために使っていくのではなく、企業が持っている技術やリソースを通じて、社会課題を解決できるCSV的なアプローチができる企業こそが、SDGsに貢献していけるのでしょう。

CSVについて詳しく知る

SDGsに取り組む企業

では、実際にどのような企業がSDGsに取り組んでいるのでしょうか。

国内企業
国内でも数多くの企業が、SDGsに関連した取り組みを行っています。外務省の「JAPAN SDGs Action Platform」には250社近くの事例が掲載されていますが、今回はブランド総合研究所が実施した「企業版SDGs調査2020」で上位3社となった国内企業の取り組みを見てみましょう。(※3)

1位のトヨタ自動車は、「創業の精神とモノづくりで培った技術」と「モビリティカンパニーへの変革」という2つを背景として、Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の頭文字を取った「CASE」と呼ばれる4つの技術革新を通じて、社会に貢献していくことを謳っています。

電気自動車(EV)などによるCO2排出量の削減(目標13などに対応)を進めるだけでなく、高齢者や身体障害者をはじめとする全ての人を包摂する「新たなモビリティ」の提供(目標11など)を通じて、SDGsへの具体的な取り組みを進めています。

2位のアサヒビールは、ビールの製造で使用したビール酵母を利用して、過剰な農薬使用の抑制や、気候変動などの影響を受けにくい強い農作物づくりに貢献できる農業資材の開発を進めています。(目標12など)

3位の旭化成は、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の普及拡大を通じた脱炭素社会の実現(目標13などに対応)や、事業活動に伴って発生する廃棄物の削減とリサイクルの推進(目標12など)、高品質で長寿命な住宅の提供による持続的なまちづくり(目標11など)などを通じて、SDGsに取り組んでいます。

いずれも、本業の取り組みが地球や地域社会などに良いインパクトをもたらしており、従業員などのダイバーシティーや女性活躍などにも目を配っていることが特徴です。

国外企業
国外企業も、さまざまな取り組みを行っています。世界経済フォーラム(WEF)による「Global 100 Most Sustainable Corporations in the World (Global 100 Index)」に掲載された、上位3社の取り組みを見てみましょう。

1位に選ばれたのは、デンマークのOrsted社です。同社は、風力発電やバイオエネルギー、火力発電事業を世界10カ国以上で展開しており、洋上風力では世界最大手として知られています。

同社の事業領域を見ても分かるように、事業全体が「気候変動への対処に焦点を合わせて」おり、「完全なグリーンエネルギーで動く世界の創造を支援する」というコミットメントを掲げています。同社は、2025年までにカーボンニュートラルな企業になることを宣言している他、なんと2040年までには取引企業やサプライチェーンなども全てカーボンニュートラルにすることを宣言しています。

2位に選ばれたのも、デンマークの企業Chr. Hansen Holding社でした。食品や医薬、農業などの天然成分ソリューションを開発するバイオテクノロジー企業です。同社が外部企業とおこなった調査では、同社の収益のうち84%がSDGsに直接的なプラス貢献をしていることが明らかになり、なかでも持続可能な農業の促進、人々の健康改善、食品廃棄物の削減(目標2、3、12)での貢献が評価されています。

3位に選ばれたのは、フィンランドのNeste社です。石油および石油製品の精製とマーケティングを行う企業で、再生可能および循環エネルギーや、低排出なソリューションにより気候変動などに貢献しています。

北欧企業のランキングが目立ちますが、業界別に見るとエネルギー企業の他に、金融サービス業やアパレル、自動車業界など幅広く含まれています。ちなみに、このランキングには積水化学工業、武田薬品工業、コニカミノルタ、花王、パナソニック、トヨタ自動車の日本企業が入っています。

(※3)https://news.tiiki.jp/data/upload/SDGs0305.pdf

メンバーズの取り組み

メンバーズも、SDGsの17の目標のうち、特に目標4・5・8・12の4つに注力して取り組みを進めています。

具体的には、目標4「すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」についてはスキル・育成制度の充実によって質の高い教育を提供、生涯学習の機会を促進してきました。

目標5「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る」については、女性社員の長期的なキャリア形成を支援しており、出産・育児・介護などの社員のライフステージに応じたワークスタイルの確立や、「Womembers Program」などを通じて女性管理職比率30%以上の目標を達成してきました。

また目標8「すべての人々のための包摂的かつ持続可能な経済成長、雇用およびディーセント・ワークを推進する」については、社員全体の平均残業時間15時間以内の目標を達成するなどワークライフバランスの実現や、地方拠点の拡充による地方経済の活性化に貢献しています。

そして目標12「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」では、持続可能な消費と生産のパターンを確保するため、デジタルマーケティング支援を通じて、企業がCSV型のマーケティングに切り替えていくご支援を進めています。

ここまで見てきたように、国内外問わず多くの企業がSDGsに取り組んでいます。ただ一方で、具体的な成果の可視化や評価の軸が一律でないことの課題なども指摘されています。今後は、こうした問題の解決に各企業が足並みをそろえて取り組み、2030年に向けてますます動きを加速していく必要があると言えるでしょう。

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