月に1回、社内向けに発行しているメンバーズの社内報MEMBUZZは、代表 剣持のメッセージや部署・社員紹介など盛りだくさんの内容となっております。
今回はその中から「真のデジタルクリエイターの社会的役割」に関する社長メッセージを紹介いたします。(社内報MEMBUZZ2018年3月号より)

2018年新入社員の皆さん、メンバーズへの入社おめでとうございます。君たちと一緒に働けることを大変うれしく思います。
今回は入社式でもお伝えした 真のデジタルクリエイターの社会的役割、つまりこれからの社会と皆さんの役割についての私の話を紹介します。

24年前、28歳の時にインターネットに出会いました。そのときの衝撃は今でも忘れられません。
当時は、インターネットの普及率は1%にも満たない時代。しかもネット回線も主要都市にまでしか張り巡らされてない時代でした。もちろん、Yahoo!もGoogleもまだ存在していません。ネットを閲覧するには、リンクをたどってWebサイトを次から次へと渡り歩いていく方法、ネットサーフィンしかありませんでした。
友人に教えてもらって初めてネットサーフィンをしたとき、私は衝撃を受けました。たまたまホワイトハウスのページに行き着きました。個人が、政府や企業と直接、フラットに結びつくことができる。それも世界中で。こうして全てがフラットに結びついたら、すごいことが起こるはずだという予感がしました。
「ところでインターネットって誰が回線を増やして広げているの? 政府、それとも企業?」と友人に聞いたら、管理者は誰もいないとのことでした。回線は部分的には誰かがコストを払っているものの、全体は自己増殖しているだけだということです。驚きました。管理者がいないのに、この世界はどんどん広がっているのです。これが、インターネットが隅々まで普及する未来に私が人生を賭けようと思った瞬間でした。そして同時に、インターネットは人類の欲望の広がりと同じだと感じました。

24年経った今、予想していた通りインターネットは私たちの生活の隅々まで普及しつつあります。最も大きな影響は、やはり世界がひとつに繋がったことだと思います。しかし、世界がひとつに繋がったことで、欲望に目ざとい人たち、特に金銭的欲望に目ざとい人たちが乗数的に稼げるようになってしまったと思います。そうでない人たちとの格差がどんどん広がっています。

また、ものを作るのは世界中でもっとも安いコストの地域で安い賃金の労働者を使って作ることが当たり前になってきています。つまり、人間は社会の主体からコストに転換しつつあるのです。コストということは、少なければ少ない方が良いということ。私は、これはインターネットがもたらした負の影響だと考えています。インターネットは人類の欲望の向かう方へ発展していくので、ある意味では仕方のないことではありますが、このままでは良くないと思っています。

世界がひとつに繋がったことで、良いこともありました。あらゆるものの取得コスト・生産コスト・提供コストが安くなり、物価を押し下げる要因になっているということです。我々の身の回りでも、10年前に比べると、有料だったものが無料で手に入ったり、圧倒的に安くなったり、便利になったりしているものがとても多いです。

今後も、シェアリングエコノミーがさらに普及し、自動運転の普及なども相まって、今まで以上にさまざまなものやサービスの提供価格がどんどん安くなっていくのだと予想できます。従来、豊かさとは「高いものを買い集める」ということでした。しかし、ものやサービスの価格がどんどん安くなっていく世の中では、「高いものをたくさん買って、たくさん消費する」ことが豊かさを意味するのではなくなっていくのだと思います。これからは、「値段が高い安いではなく、好きなもの、好きな人、気に入ったものや気に入った人に囲まれた生活」ということこそが豊かさになっていくのではないでしょうか。「好き」「気に入った」というのは個人的な主観であり、ものの良し悪しや何が豊かさなのかということも人によって千差万別になっていくということでもあります。経済優先で地球環境を無視して大量生産・大量消費をしてきたことに終止符が打たれ、持続可能な社会に近づくという意味で、この変化はインターネットがもたらしたプラスの影響だと考えています。

このように、人類の欲望の方向、すなわち人類がどのような未来を希望するかという姿に向かってインターネットは発展していくものだと私は考えています。短期的な欲望に駆られて100年も地球がもたないような社会を作ることもできれば、人類みんなで協力し、ともに共存共栄できる持続可能な社会を作るためにインターネットは発展していくこともできると思うのです。

このインターネット社会を牽引する主役が我々のようなデジタルクリエイターです。プログラマー、デザイナー、ディレクター、プロデューサーです。ただし、単なるWebサイトを作るのではなく、「気に入った人や気に入ったものやサービスに囲まれた生活」が豊かさの象徴となる時代において、誰かのお気に入りをこの世に生み出すことのできる人です。「物質的なものを製造して販売する」ことに価値があった時代から、「目に見えない精神的な心地よさ」に価値が移る時代において、その目に見えない価値を作り出せる人が世の中に求められていき、そのような人たちがAIに代替されることのない真のデジタルクリエイターとして活躍できるのだと思います。

今後、インターネットのさらなる普及によってデジタル社会が本格到来します。繰り返しになりますが、インターネットは人々の欲望の方向に発展していくものです。社会の破滅に向かうのも、持続可能で新しい豊かな社会を目指していくのも、我々人類の欲望次第ということです。このような中で、デジタルクリエイターこそが人々を牽引する使命を持っていると思うのです。

新入社員の皆さんには、いち早く技術を身につけ、そして、目に見えない精神的な価値を作り出せるような真のデジタルクリエイターになっていただきたい。その上で、そのスキルや経験と立場を最大限活用して、インターネットが持続可能な心豊かな社会の実現においてプラスの役割を果たすよう、それぞれの使命を全うしていってもらいたいと思います。

私と力を合わせて、皆で一緒に頑張りましょう。