月に1回、社内向けに発行しているメンバーズの社内報MEMBUZZは、代表 剣持のメッセージや部署・社員紹介など盛りだくさんの内容となっております。
今回はその中から「デジタル経済と求められるデジタルクリエイター像」に関する社長メッセージを紹介いたします。(社内報MEMBUZZ2017年12月号より)

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今回はいろいろな研究者の話を聞き、経済の勉強をして考えたことを紹介します。

日本では従来、景気が悪いと、国は政策として金利を下げ、企業の設備投資を促します。積極的な設備投資が促されれば雇用が増え、そして賃金が上がり、物価も上昇し、景気は良くなる。これが定説でした。しかし、いま日本では、過去最高に雇用が逼迫しているにも関わらず、賃金はあまり上がらず、物価も上昇していません。これだけの雇用逼迫にもかかわらず物価が上がらないのは経済学者にも不思議なことと考えられているようです。

日本では長らく景気が悪く、多くの専業主婦が働き始めたことと、シニア世代が引退せずに働き続けてくれていることにより、労働人口が増えてきたため、雇用逼迫による賃金上昇につながりにくかったのです。そして企業も、景気低迷が20年続く中でも賃金をあまり下げなかったので、景気が良くなっても賃上げにはかなり慎重になっています。今まで日本にはこのように特殊な事情があったため、雇用逼迫が賃上げや物価上昇につながってきませんでした。
しかし、それもほぼ限界まで来ています。これからは賃金は上昇し、物価も上がっていく、という見通しがあります。

ところが、最近参加した勉強会で、2010年頃から米国でも、欧州でも、失業率が大幅に改善されても物価上昇に繋がりにくくなっているということ
を学びました。それまでは、失業率と物価の相関関係は高かったにもかかわらずです。
であれば、先の「日本は雇用逼迫しているのに賃金上昇や物価上昇に繋がらない」というのは日本固有の要因ではなく、世界中の共通の何かが原因なのではないかという疑問が出てきます。

その原因の1つがデジタル経済発展の影響であろうという説があり、私はこの説に非常に納得しています。
2010年頃から世界でデジタル経済が本格的に普及し始めて、あらゆるものの取得コスト・生産コスト・提供コストが安くなり、物価を押し下げる要因になっているということです。

10年前頃と比較してみれば、自分の身の回りでも、有料だったものが無料で手に入ったり、圧倒的に安くなったり、便利になったりしているものがとても多いことに気づきます。
今後も、シェアリングエコノミーのさらなる普及、自動運転の普及等も相まって、さらに様々な物やサービスの提供価格は安くなっていくことが予想できます。そうなれば物価はもう上がらないのではないのかと思うのです。

私は「社員のみんなの賃金を上げていきたい」という想いに変わりはありません。しかしマクロ経済の話で言えば、これからはもっともっと物価が安くなり、賃金は上がらないけれど生活の中身はより豊かになっていくような時代になっていくのではないでしょうか。

では、豊かさと何でしょうか。
従来の価値観は「高い物を買い集める」ということが豊かさの象徴でした。しかし、物やサービスの価格がどんどん安くなっていく世の中では、高い物をたくさん買って、たくさん消費するということが豊かさには繋がらなくなっていくのだと思います。これからは、「気に入った人や気に入った物、サービスに囲まれた生活」が豊かさの象徴になっていくのではないでしょうか。そして「気に入った」というのは個人的な主観であり、ものの良し悪しや何か豊かさなのかということも人によって千差万別になっていくということでもあります。

さて、このような豊かさを実現させるデジタル経済においては、どのような人が求められるのでしょうか。
例えば、昔、証券会社には多くの営業マンやアナリスト、ディーラーがいました。インターネットの普及にともなって営業マンは少なくなってきていますし、最近ではAIの株式自動買い付けが主流になり、アナリストもディーラーも減ってきています。それ以外にも、例えば企業の会計・監査を行う公認会計士の業務はほとんどがAIに代替されていくでしょう。そう考えると、ホワイトカラーと言われてきた人の多くはAIに代替されていくのではないでしょうか。

そして、「気に入った人や物、サービスに囲まれた生活」が豊かさの象徴となるのであれば、誰かのお気に入りを創造する人の重要性が高くなると思うのです。つまりは現在のホワイトカラーと呼ばれる人たちの正反対にいるような人たちです。

「物質的な物を製造して販売する」ことに価値があった時代から、「目に見えない精神的な心地良さ」に価値が移るのであれば、その目に見えない価値を造り出せる人が世の中に求められるのだと思います。

このような人たちに、我々が目指すデジタルクリエイターの姿を求めたいいと考えています。HTMLを書く人、JavaやRubyを書く人、Photoshopを使う人、Google Analyticsを使う人ではなく、そのような技術を用いて「目に見えない精神的な心地良さ」を生み出せる人たち。そんなデジタルクリエイターが1万人いたら、我々の手で世の中をもっと心地良くできるだろうと考えています。